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Wednesday, April 6, 2011

世界の中心で愛を叫ぶ 第7話

2004年8月13日放映
第7話「明けない夜」

2004年。
息子・一樹の誕生日を、二人で祝おうとした明希(桜井幸子)。
だがサクがいないと6歳になれないと、一樹はダダをこねる。
一樹はサクを父親として慕っていたのだ。

一方、アキのいない世界に生きる意味を見出せないサク(緒形直人)は、入水自殺しようとするが、それに失敗。

生きていると、思い知らされただけだった。
最低だった。
僕は17年間で、一体、何を得たのだろうか――

「何かを失うことは、何かを得ること」という、17年前にアキと交わした言葉が蘇る。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
アキの父・真(三浦友和)から、まだ娘に白血病という事実を知らせていないと聞いたサク(山田孝之)。
アキに希望を持たせるための仕方ない嘘だが、サクは後ろめたさを感じていた。

アキ(綾瀬はるか)は、病院の庭で絵を描いていた青年患者・真島と知り合う。
二人が仲良く会話しているところに見舞いに来たサクは、つい嫉妬してしまう。

真島が自分と同じ点滴液を使っていたことから、同じ病気ではないかとアキが聞くと、「僕は白血病だ」と真島。
アキは自分も白血病ではないかと疑い始める。

サクたちの学年はオーストラリアへの修学旅行が間近に迫っていた。
早く退院して皆と一緒に参加したいアキ。
パスポート写真を撮りに行こうと制服に着替えるが、退院許可が下りるはずもなかった。

サクはお見舞の帰り、アキの母・綾子(手塚理美)から、白血病も6割は治るが4割は厳しいという話を聞かされる。

一人になると考えてしまう。
6割、4割という数字はとても微妙で。
アキは6割なのか、4割なのか。
ボーっとしていると言われる僕でさえ、こうなんだ。
もし、アキがこの事実を知ったら…。


アキは真島の病室を訪れ、庭で描いていた絵に合う詩をプレゼントする。
もしもおまえが
枯れ葉ってなんの役に立つの?ときいたなら
わたしは答えるだろう
枯れ葉は病んだ土を肥やすんだと
おまえはきく
冬はなぜ必要なの?
するとわたしは答えるだろう
新しい葉を生み出すためさと
おまえはきく
葉っぱはなんであんなに緑なの?と
そこでわたしは答える
なぜって、やつらは命の力にあふれてるからだ
おまえがまたきく
夏が終わらなきゃならないわけは?と
わたしは答える
葉っぱどもがみな死んでいけるようにさ

いつも笑みを絶やさない真島に、どうしていつも笑顔でいられるのかを聞くと、
「何かを失うことは、何かを得ることだと思わない?」と真島。

白血病によって色々なものを失った一方で、そうなることで初めて知ったことや、得られたものもあった…。
そう考える真島はどこまでも前向きだった。

自分の病気について調べたいと思っていたアキは、ベッドのそばにあった医学辞典を借りる。
すると、「再生不良性貧血」の項目にバツ印がしてあった。

自分も初め、再生不良性貧血だと医師に言われたが、実は白血病だったと真島。
アキは自分もやはり白血病ではないかと不安に襲われ、眠れない夜を過ごす。

翌日。
医師から白血病だと告げられたと、アキは見舞いに来たサクに言う。
動揺して嘘の病名をついたことの弁明をするサク。
だが、それはアキのひっかけだった。

病名をバラしてしまったサクは落ち込む。
真に謝罪に行くと、「本当は俺がやるべきことだったんだ」と諦め顔。

夜の病室。
楽しみにしていた修学旅行に参加できないことが明確になってしまったアキ。
なんで私が…と、やるせない気持ちで問い続ける。


翌朝。
一時的に外泊許可が出たアキは、元気に登校する。数ヶ月ぶりの学校だった。
サクはもちろん、クラスメートも久しぶりのアキの姿に歓声を上げる。
ウォークマンの交換日記も久しぶりだった。

おはようございます! 廣瀬アキです。
あ、考えたら、なんか「おはよう」って久しぶり。
とにかく今日1日は、病気のことは忘れようと思ってます。
まずは、コロッケパンが食べたいぞよ。

束の間だが、かつての幸せな日常が戻ってきた。
サクは嬉しさのあまり涙ぐむ。

クラスメートの前で無理して明るく振舞っていたアキ。
それを心配したサクは、午後からサボらない?と提案。

二人は防波堤へ。告白した頃の思い出が蘇る。

その後、アキはサクの家を訪れる。
サクの母・富子はアキを歓迎。料理を教えたりする。

今晩はサクの家で食事することになったアキ。
重病だと知らない陽気な富子は「病気もそのうち治るよ」と明るく元気づける。

そんな和やかな空気を打ち消すように、「私、白血病なんです」とアキは告白。
それを聞いて感情的になった富子は、「なんで仏さんそんな意地悪するのかねえ」と、誰に向かってでもなく怒るのだった。


夜の海辺にたたずむ二人。
気をつかわずに自分を受け止めてくれたことが嬉しかったアキ。

サクのお母さんって、すごいね。
あんな人、私初めて見た。
感情丸出しなんだよ、動物だよ。
ううん、すごい人だよ。
聞くと重いじゃない、私の病気。
気のつかい合いで泥沼になっちゃうからさ。
そのまま受け止めてくれた…なんかすごい嬉しかった。
飾らないお母さんと、のん気なお父さんと。
だからサクちゃんが生まれるんだね。
どっちにも似てないと思ってたけど。
そっくりだよ。

サクちゃん。何かを失うことは、何かを得ることだって、わかる?
きっと前の私だったら、今日のこと、ここまで喜べなかったと思ってさ。
今度はもうちょっと元気になって、サクちゃんの家で朝ご飯も食べてみたいな。
”おはよう”って言うの。
それが今の夢かな。

(モノローグ)
きっと前の僕だったら単純に喜べたことが、悲しくなる。
世界を飛び回りたいと言っていたアキが、家に来ることが夢だと語る。
たぶん現実を受け入れていくと、こういうことなのだ。
だけどそれすら、心の中で声がする。
そんな未来はあるのだろうか。

大丈夫だよ、サクちゃん。
夜は必ず明けるんだよ。

その帰り。サクはアキを自転車に乗せて送っていく。

ペダルが少し軽かった。
きっとチェーンを直したせいだと、僕は自分に言い聞かせていた。


翌朝、医師から治療の説明を受けるアキ。
抗がん剤によるつらい治療が始まろうとしていた。

アキが真島の病室を訪ねると、ベッドには誰もおらず、真島の母が荷物整理をしていた。
真島は亡くなってしまったのだ…。
前向きになりかけていたアキだが、その無情な事実に打ちのめされる。

遺品として真島のスケッチブックを母親からもらったアキ。
その中には以前、アキが真島に渡した詩が挟まっており、「あきちゃんへ。これはアボリジニの歌かもね」と付記されていた。


放課後、サクがお見舞いに訪れると、アキの病室は空だった。
真らと手分けして探すが、なかなか見つからない。

昨日会話していた海辺に行くと、アキが海へと入ろうとしていた。
気づいたサクは駆け寄って連れ戻そうとするが、それでもアキは沖の方へと歩いていく…。

何考えてんだよ!
今死んだって同じじゃない!
どうせ死ぬんだったら、なんで辛い治療受けなきゃいけないの。
みんな卒業して、社会に出て、結婚して、そういうの横目で見ながら暮らすんだよ。
うらやましがって、ひがんで、可哀想ねって言われて。
いいことなんか何もないのに、惨めにいいこと探して。
私そうやって暮らすんだよ。一生だよ。
なんで私だけそんな目に遭わなきゃいけないの!
なんで…私が何したって言うの……。
治るかもしれないだろ。
気休め言わないでよ!
何で悪いことばかり考えるんだよ。
サクちゃんだって思ってるくせに。
私が死ぬって思ってるくせに!
…そうだ、思ってるよ。
思っちゃうよ…。
だけど……俺の知ってる廣瀬アキは、鼻血出ても保健室行かないんだよ。
雨の日でも、一人で弔辞読むんだよ。
白血病でも自己ベスト更新するんだよ。
誰よりも負けず嫌いで、上昇志向の塊みたいな父親と、強がりで優しい母親から生まれて、恐竜みたいにたくましく育てって言われて。
だから、俺は廣瀬アキを信じる。
だから…絶対に裏切るなよ!

サクの励ましに、アキは涙を流しながらうなずく…。

言い聞かせていた。
アキに言いながら、僕は自分に言い聞かせていた。
だけど、僕はまだ知らなかった。
信じることは、闘いだということを。

2004年。

僕はまだ知らなかった。
明けない夜はないけれど、目覚めなければ朝は来ないということを。
目覚めていても、明けない夜もあることを。

一樹は一人でフェリーに乗って、サクに会いに故郷までやってきた。
迷子として警官に保護されていたところに、サクが居合わせる。

サク、もう写真撮ってくれないの?
サクがいないと、うちの写真、撮れないんだ。
僕とママは、サクがいないと、困るんだ。
サク、嫌いになった?
僕のこと、嫌いになった?
好きだよ、一樹…。
大好きだよ……。

そう言って一樹を抱きしめるサク。

何かを失うことは、何かを得ることだと、アキはそう言ったんだ。
アキはそう言ってくれたんだ…。

世界の中心で愛を叫ぶ 第6話

2004年8月6日放映
第6話「生への旅路」

2004年。
17年ぶりに夢島に渡り、タイムポストに残されたテープを見つけたサク(緒形直人)。
アキを忘れようとして故郷に来たサクだが、その考えを改める。

アキの声はボロボロだった。
僕が捨てようとした声だった。
くだらないと言われようと、自分以外に誰が、アキと一緒に時を止めてやるんだろう。
アキはこんなくだらない男に巡り合う時間しか、許されなかったのだから。
未来は静かに暮れてゆく…。

一方、東京へと戻った明希(桜井幸子)。
幼稚園に通う息子の一樹が、明希とサクに祝われる誕生日パーティーの様子を絵に描いた。サクがパパになって欲しいと願う一樹。
だがサクの心の中には亜紀がいて、自分が入り込む余地はないと明希は感じていた。

故郷で一人、アキの残したテープを繰り返し聞くサク。

あれから何日が経ったんだろう。
Play、Reverse、Play、Reverse…
アキの声に満ちた、暖かな世界。
俺、なんで生きてんのかな、アキ――

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
夢島で倒れたアキ(綾瀬はるか)は、救急車で病院に運び込まれる。
救急車と共に駆けつけたアキの父・真(三浦友和)は、やるせない気持ちから、娘を連れ出したサク(山田孝之)を殴りつける。

アキは入院し、検査の結果、急性白血病であることが明らかに。
難病に侵されてしまったアキ…。だがアキはまだそのことを知らない。

入院先の病院も知らされないまま、途方に暮れるサク。
病院名を聞こうとアキの家を訪れるが、真に一蹴され相手にしてもらえない。
真たちもまた、娘に突然降りかかった不幸に平常心を失っていた。

入院先で孤独に過ごすアキ。
テープにメッセージを録音して、サクに届けてもらうよう母に託すが、真はそれを没収。
アキはしばらく面会謝絶の状態だった。

結局、僕はアキの家に連絡することもできず。
誰に聞いても様子は分からず。
会うすべもないままに、1ヶ月が過ぎようとしていた。

ベッドがビニールで被われ無菌状態での治療が続くアキは、サクからテープの返事が来ないことを心配。


早くも夏休みは終わり、新学期が始まったが、アキはまだ入院したままだった。
担任の谷田部(松下由樹)は、この前アキのお見舞いに行ってきたと生徒たちに報告。
だが入院先は両親の意向で教えられないという。

会えない日々が続き、ますます塞ぎこむサク。
心配した智世は、稲代総合病院でアキの母を見たという情報をサクに伝える。

放課後、病院へと自転車を走らせるサク。
ロビーでアキの両親と居合わせる。

アキちゃんに会わせてください。
ごめんね、今、まだ会えないんだ。
顔見るだけでも…
ごめんね。
もう1ヶ月ですよ。
そんなに悪いんですか。
俺何でもしますから、できること何でもしますから。
できることなんて簡単に言わないで!
…白血病なんだ。
君に何ができるんだ?
分かったら、帰ってくれないか。

白血病という事実に打ちのめされるサク。
前にラジオに投稿した、ジュリエット役の彼女が白血病になったというハガキの内容が、現実になってしまった。
サクは祈りを込めてもう一度ハガキを書く。

以前、そちらでハガキを読んでもらった者ですが、
彼女は実は、白血病ではありませんでした。僕の勘違いで。
彼女は元気になって戻ってきて、今ではジュリエット役の稽古をしています。
友達と楽しそうに話をしたり、部活動で一生懸命走っている姿を見ると、今まで病気してたのが嘘みたいで。
このままでは、誰よりも長生きしそうで…。


自分には何もできないと打ちひしがれるサクは、学校を数日休んだ。
そんなサクを神社で見つけた谷田部は、アキの前でもグズグズ泣き続けるの?と叱咤する。

何よりもアキを元気づけたい…そう気づいたサクは、病室で「ロミオとジュリエット」を演じてアキを励ます計画を立てる。大木たちもそれに協力。

それは医者でもなく、親でもない僕の、
僕にできるたったひとつの、アキのためにできることで。

演出担当のサクは台本を作り直す。
それは「どすこいロミオとジュリエット」というもの。
ロミオとジュリエットは大木と中川が演じて、とにかく楽しい演劇を目指す。

演劇の練習と準備に明け暮れるサクに、吉報が届く。
アキの面会謝絶が解けたのだ。
すぐに病院へと向かうと、入り口のベンチに真がいた。

あの…ひとつだけ見つけたんです、アキさんのためにできること。
会わせてください。お願いします。
勝手に行きなさい。
認めて欲しいんです、アキのお父さんだから。
いい奴なんだろうな、君は。
なぜ亜紀は、あんな目に合わなければいけない?
俺のせいか、綾子のせいか。
君のせいじゃないな。
だからこそ、君を憎むことでしか、俺は立ってられないんだ…。

そう言い残して立ち去る真。
そばで聞いていた綾子は「亜紀に会ってあげて」と言うが、真に認められ、ちゃんと会える日が来るまで出直すことしたサク。


後日。
大木・中川・智世はアキと再会し、病室で劇を演じるが、サクは真に遠慮して病院の中には入らなかった。

3人の演劇にアキは久しぶりの笑顔を見せる。
自分には見せることのない娘の笑顔を、久しぶりに見た真は複雑な心境。

さらに病院にサクの父・潤一郎が写真を届けに来る。
それは夢島での写真で、そこにもアキの幸せそうな笑顔が溢れていた。

娘にとって大切なのはサクや友人たち…そう気づいた真は、
渡されないままになっていたアキのテープをサクに手渡し、アキの病室番号を告げる。

ようやく真に認められたサクは、アキの病室へと走る。
1ヶ月ぶりに再開した二人。抱き合う二人は自然に涙が溢れる…。

泣きそうになった。
だけど、泣いてはいけないと思った。
僕が泣くと、きっとアキが思い切り泣けなくなるから。

もう一回呼んで、サクちゃんって…
サクちゃん
もう1回…
サク…
もう1回…
サク…サクちゃん

この声のためなら、何でもしようと思った――

何でテープ返してくれなかったの?
ごめん。
ずっと前のテープ聞いてたんだよ。
学校の行事の方が大事なの。
浮気とかしてない?

もしもアキが笑えるなら、僕は一生笑えなくていい。
もしもアキが泣きたいなら、僕は一生我慢する。
もしも、アキの代わりに死ねと言われたら、喜んで死んでやろうと。
あの日僕は、本気でそう思っていた。

2004年。

神社に立ち寄ったサク。かつて、アキの回復をここで願ったのだろう。
だが今、アキのいない世界に願いごとはないと気づく。

何ひとつ願うことがなかった。
アキと一緒に灰になったのは、僕の心だった。
そんな人間は、生きているのか死んでいるのか、答えは分かっていた。
17年前から、僕は怖くて逃げ続けてきたんだ。
たったひとつの答えから…。

アキのいない世界では生きられない。
そう自覚したサクは夜の海へと入水し、命を絶とうとする…。

世界の中心で愛を叫ぶ 第5話

2004年7月30日放映
第5話「忍びよる影」

2004年。
サクの父・潤一郎から亜紀のことをそれとなく聞いた明希(桜井幸子)は、何か力になれないかと、サク(緒形直人)に亜紀のことを尋ねてみる。
サクは一瞬動揺するものの、初めて亜紀のことを誰かに話す気になる。

小さな小林が少し大きく見えたその晩、
僕は押入れの奥にしまいこんだ箱を、取り出すことができた。
アキがいなくなってから、ずっとこの箱を開けるのが怖かった。
あの頃に戻ってしまう気がして。
だけど17年ぶりの再会は、想像していたより穏やかで。
僕は生まれて初めて、誰かにアキのことを話したいと思った。

一番幸せだった頃の話を聞きたいという明希。

手を引かれるように僕は話し始めた。
大好きだった人のことを。
17年も前のことを振り切れない、カッコ悪い自分のことを。
この人に知って欲しいと思ったから。
もう一度、手をつなぎたいと思うから、生きることと…。

サクはアキと無人島に渡った、ある夏の日の出来事を話し始める…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
最近、鼻血が出たり貧血で倒れるなど体調不良のアキ(綾瀬はるか)は、病院へ。
だが一度の検査では病状がよくわからず、念のため血液検査が必要だと言われる。
謎の微熱が続くアキは、自宅での安静が必要だった。

一方、彼女と暮らすため高校を中退する覚悟で東京へと向かった大木だったが、あっさりと帰ってくる。
彼女にはすでに新しい男がいたらしく、大木も苦笑い。
アキと智世の陸上の県予選をフイにした代償として、大木は夢島という無人島に皆を招待する計画を立てる。

一学期の終業式を病欠したアキ。
放課後、サク(山田孝之)は見舞いに訪れる。
初めてアキの部屋を訪れて緊張ぎみのサクとは対照的に、アキは夢島でのキャンプがとにかく楽しみ。
そんなアキにつられるように、サクもキャンプの準備に張り切る。

サク、アキ、大木、中川、智世の5人で夢島に渡る予定だったが、智世は行かないと言い出す。
前回、大木にフラれたショックから、まだ心の整理がついていないのだ。
また、中川も実家の寺の都合で急に行けなくなってしまう。

残るはサク、アキ、大木の3人。
だがアキも微熱が下がらず、病状を心配した母が外泊を強く反対。行けなくなったとサクに電話で告げる。
周到にキャンプの準備をしてきたサクは内心がっかり。

翌朝。
意外にもアキから電話がかかってきた。
どうしても行きたかったアキが、親に黙って抜け出してきたのだ。
サクはアキ・大木と合流して、大木のボートで夢島へと渡る。

夢島到着後、二人に気をきかせた大木は、俺は先に帰るとサクに告げる。
無人島で二人きりになる今夜が、アキと結ばれる絶好のチャンスだと言う大木。

そんなことを知らないアキは、水着姿になって海へ。
それにサクも続き、二人は幸せなひと時を過ごす。
泳ぎ疲れ、浜辺でうとうとして起きてみると、すでに夕方に。
大木は予定通り、一人で先に帰っていた。

夕食はサクが作った。夜の海辺で焚き火を囲み、将来について語り合うサクとアキ。
アキは絵本作りをしたいと言い、サクは写真館を継ぎたいと言う。

夢島にはタイムカプセルのような箱があり、サクとアキは未来の相手に向けてメッセージを残すことに。
それぞれが一人になり、テープに録音する。

未来の廣瀬アキさんへ。
廣瀬って入れたけど、廣瀬なのかな…
できれば、松本になっていて…欲しいです。
あ、でもアキは一人っ子だし、俺は妹いるから、俺が廣瀬になるのか。
とにかく僕は、毎日をずっと今日のように…
アキとのんびりと過ごしていければ…


夜の廃宿。
二人だけの一夜を前にしてサクは緊張ぎみ。だが大木が気をきかせて枕の下に忍ばせておいた避妊具を、アキに見つけられてしまう。
大木との計画がバレたサク。アキに軽く責められる。

ねえ、あの世って信じる?
信じたいとは思うけど。アキは?
信じられないな。
それってやっぱり、残された人たちが創った世界のような気がする。
存在して欲しいと、願う世界っていうか。
アキは神頼みとか、しなさそうだからね。
でも神様はいないと困るよ。
ラッキーとアンラッキーは、コントロールしないと。
すごーく幸せだった人は、すごーく不幸になったりとかするじゃない。
どんな人生も、結局プラスマイナスゼロになるようになってる気がしない?
それを調節するのが神様ってこと?
そう。
サクちゃん、私ね…
(目を閉じて祈るサク)
何してるの?
今、俺のプラス分、アキに回しといてもらったから。
俺は別に、マイナスでもいいし。
アキの方が叶えたい夢とか、色々ありそうだし。
…好きよ、サクちゃん。

深夜。寝静まった二人だったが、どこからか電話が鳴るような音がしてアキが起きる。
二人が外に出てみると、暗闇は一面、蛍の光に満ちていた。

蛍ってさ、7日間しか地上にいないんだよ。
こんなの見れるなんて、どのくらいの確率なんだろうね。
幸せだなぁ、私…。
なんでこんな…幸せなんだろう。
もう何かあるんじゃないかと思っちゃうよ…。
誰かが病気になったりとか、誰かが死んだりとか…。
もう、本当に…何かあるんじゃないかな…。
ないよ。そんなこと、絶対ないから。


2004年。

僕はなぜアキが泣いているのか、まったくわからなかった。
だけど、この時肩に止まった蛍は、いつの間にか消えていたんだ。

99%の確率でテープはないだろうと、そう思いながら、僕は夢島に渡った。
人の手の入らない無人島は、不気味なほど変わらず。
そこはまるで、死の国の入り口のようで。

17年ぶりに夢島へと渡ったサク。
タイムポストは朽ちていたが、かろうじて現存していた。そこにアキのテープを見つける。
早速テープを聞いてみると、17年前のアキの声が…。

未来の松本朔太郎へ。
サクちゃん、私ね、わかったんだ。
幸せって、すごく単純なことだね。
サクちゃんがいて、私がいることなんだよね。
きっと、そういう毎日のことで。
だから、これからもずっと、昨日のように、
サクちゃんとずっと、手を繋いでいけたらと思うよ。
私がサクちゃんの手を引っ張って、サクちゃんは子どもの手を引いて。
そんな風に、歩いていけたらと思う。

アキの声はボロボロだった。
時の流れから、たった一人置き去りにされた声だった。
誰も聞こうとしない。
どこにも届くことのない。
僕が捨てようとした声だった。
時が戻っていく。
アキをボロボロにしたのは自分だと、責め続けたあの頃へ――

1987年。

夢島で一夜を過ごした翌朝。
迎えに来た大木のボートに乗ろうとしたサクとアキだが、その瞬間、アキが気を失って倒れてしまう。
夢島にいる間も、アキの病気は進行していたのだ……。

世界の中心で愛を叫ぶ 第4話

2004年7月23日放映
第4話「最後の日」

2004年。
17年ぶりに故郷を訪れているサク(緒形直人)。
手紙をもらった高校時代の担任・谷田部(松下由樹)と17年ぶりに再会する。

高校のグラウンドで陸上部の練習を見つめるサクと谷田部。
アキも陸上部に所属していた。17年前のことを回想する二人。

あなたいつもここで見てたよね。
廣瀬はいつも走ってて。
廣瀬が最後に走った日のこと、覚えてる?

忘れるわけがなかった。
17年前、1987年7月19日。
12秒91
アキが走った、最後の日…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。

陸上の県予選が間近に迫ったアキ(綾瀬はるか)。
同じく陸上部の智世と共に、練習に汗を流す。
サク(山田孝之)はそれを見守る日々だった。

サク、中川、大木らは、県予選に二人を応援しに行く計画を立てる。
行事ごとが嫌いな大木にしては、妙に乗り気だった。
大木に想いを寄せる智世は、大木のために頑張ろうと練習にも力が入る。

一方、アキも予選で敗退したら退部して、勉強に集中することを父と約束していた。
陸上を続けるためには勝ち残らなければならず、懸命に練習に打ち込む。

陸上部の練習の帰り。
サクとアキが一緒に帰宅していると、大木が電話ボックスから誰かに電話していた。

話を聞くと、大木は東京に彼女がいるらしく、だがここ1ヶ月ぐらい電話が繋がらないという。心配した大木は、できれば東京に行って様子を見てきたいと言う。

翌日。
大木は幼い頃の写真を焼き増しして、カセットテープの山をサクと中川にプレゼントする。

何かあったと直感したサクは、大木のバイト先に駆けつける。
すると大木は高校を中退して、東京に行って彼女と暮らす決意を固めたようだ。
世間はそんなに甘くないと中川は反発するが、何もできなくても彼女の側にいてあげたいと言う大木。

何も言えなくなってしまった。
ボウズはきっと、まだアキのことが好きで。
僕のために、必死に友達の顔をしてくれて。
役立たずでも側にいたいという介ちゃんの気持ちは、アキを見てる時の僕と同じだった。

二人の気持ちがわかるサクは、どうしていいのかわからず落ち込む。
そんなサクをアキが励ます。

この間、何でそんなに頑張るのかって、サクちゃん聞いたじゃない。
実は私、リズム感あんまりよくなくて。
だからスタートも苦手なんだけど。
幼稚園の頃にね、お遊戯上手くできなくて、仮病使ってお遊戯会休んだんだよね。
逃げ出した自分が、すごく嫌だった。
やらないで失敗しないより、やって失敗した方がいいと思う。
スケちゃんのこと?
大木くんも智世も。

翌朝。
大木にもらったテープの中から元気が出る曲をセレクトし、ウォークマンと共に下駄箱に入れたサク。
いよいよ明日は県予選だった。

一方、大木が焼き増しに出した写真の現像ができた。
サク・大木・中川・智世の4人で、幼稚園のリレーに出た時の写真だった。
リレー選手に病欠者がいて、代わりに智世が出場。
結局ビリになって智世は泣いてしまうが、そのことをキッカケに仲良くなった4人。

智世は予選に勝ち残ったら大木に告白するつもりでいた。
アキにとっても退部を賭けた大事な予選だった。


大会当日。
客席にはサクと中川。
競技前にアキが挨拶にやってくるが、大木はなかなか来ない。

大木は初めから応援に来るつもりはなく、智世に嫌われるためにわざと嘘をついたと気づいたサクとアキ。

それを知った智世はショックを受けるが、すでに大木は東京へと向かおうとしていた。
4人は会場を後にして駅へと向かって走る。

駅。
電車がやってきて大木が乗り込む。
そこに駆けつけた4人。
智世は走りながら別れの言葉を口にするが、無情にも電車は走り去っていく。
泣き崩れる智世。

大会はすでに始まっていた。
アキの出番までわずかの時間しかなかったが、サクはアキを後ろに乗せて、競技場へと向かって自転車を走らせる。

トラックに到着した二人。しかし、レースにはあと一歩のところで間に合わなかった。
サクが係員にアキの再レースを懸命に頼むが、断られてしまう。

走るって、結局最後は一人なんだって思ってた。
でも違ったね。

そんな二人を見て不憫に思った谷田部が、サクの自転車にストップウォッチを残す。
帰り際に、それを見つけたサクとアキ。


夕方。大会が終わって静まり返ったトラックに、サクとアキがいた。
二人だけの最後のレースが始まろうとしていた。
サクがストップウォッチ片手に笛を吹き、スタートを切るアキ。

すれ違いながら走り続ける人生の中で、
想いがひとつになる瞬間なんて、
ごくたまに、本当にごくたまにしかなくて。
だとしたら、こんな顔を見られる僕は、なんて幸せなんだろう。
こんな風に喜べる僕は、なんて幸せなんだろうと思った。
12秒91は、誰も知らない、僕たちの公式記録。

タイムは12秒91。
亜紀の自己ベストだった。

2004年。

僕が忘れると無くなってしまう。
アキの最後の記録だった…。

17年前のそのことを回想したサクと谷田部。

ずっと一人でやっていこうと思ってたんです。
毎日忙しくしてれば、人生なんてあっという間だって。
で、気づいたら17年で…。
もう?
まだ…まだなんです。
死ぬまでに、あと17年、何回あるんだろうって思って。
ありもしない現実に期待して、夢から醒めると泣いてて。
あと何万回、僕はこんな朝を迎えるんだろうって。
もう…無理だと思ったんです…。
忘れなさい、松本。
あなたたちのことは、私が覚えてるから。
安心して忘れなさい。
もう一度、誰かを乗せて走りなさい…。

泣き崩れるサクを、そう言って慰める谷田部だった…。

世界の中心で愛を叫ぶ 第3話

2004年7月16日放映
第3話「永遠の別れ」

2004年。
アキに別れを告げるため、17年ぶりに故郷を訪れたサク(緒形直人)。
だが思い出の場所であるアジサイの丘には、ピンクのアジサイが一本もなく、改めてアキの不在を実感していた。

行方不明になったサクを心配した明希(桜井幸子)が、息子の一樹と共にサクの実家を訪れる。
サクの両親は息子の帰郷と明希の訪問を歓迎。
だが17年前の話題だけは気をつかって避けていた。

父も母も昔と同じように話をしてくれた。
ただひとつ、17年前の話題だけは避けながら。
その心遣いに、自分は二人をずいぶん心配させていたのだと。

母・富子は、サクと明希の関係が気がかり。
明希にそれとなくさぐりを入れると、恋人と別れた後に妊娠が発覚した明希を、一人励ましたのがサクだったという。
一樹の入園式に行くなど、父親代わりになっていたサク。
お世話になりっぱなしと言う明希だが、富子は逆に、孤独なサクの親友として明希に感謝する。
17年前に一体何があったのか…明希はまだそれを知らない。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
恋人の骨を盗んだ翌日、祖父・謙太郎(仲代達矢)が突然逝ってしまった。
サク(山田孝之)は葬儀に出席しても、祖父がこの世からいなくなったという実感が沸かず、涙を流すこともなかった。
そして祖父とサトさんの骨を一緒に撒くという、重い宿題が残されていた。

結局、僕は一度も泣けなかった。
あまりにも出来過ぎだったから。
お祖父ちゃんには、死んで叶えられる望みがあったから。
まだやらなきゃいけないことがあるから。
僕は、自分で自分がわからず…。

アキ(綾瀬はるか)はサクのことが心配で、自分に何かしてあげられることはないかと考える。

祖父が亡くなったことで、祖父が一人で経営してきた写真館は売却することになった。
父・潤一郎は思うところがあるようだが、何も語ろうとはしない。

サクは悲しみに陥ることなく、学校ではむしろ明るく振舞っていた。
「ロミオとジュリエット」の演出がまだ決まっていなかったが、サクが元気に立候補。
体育の時間も、妙に明るいサクだった。

放課後。サクは売却する写真館に行き、回収と片付けを。
アキもそれを手伝い、祖父の恋人・サトさんの写真を持ち帰る。

その夜。
売却の取引がサクの家で行われ、話が決まりかけていた。
だが急に潤一郎(父)が、売るのはやめて自分が継ぐと言い出す。
そして妻に相談することもなく、農協の仕事も今日辞めてきたと言う。

翌朝。
なぜ家族に相談しなかったのかをサクが聞く。
「気づいたら親孝行は何もしなかった。これしかなかったんだ」と父。

父の態度に触発され、サクも祖父への恩返しを真剣に考えるが、どこで二人の骨を撒けばいいのかわからず、余計に重圧になっていった。


学校。
アキはサトさんの写真の裏に書かれていた漢詩のようなものの意味を、担任の谷田部(松下由樹)に聞く。
漢詩を読み上げる谷田部。

夏之日
冬之夜
百歳之後
歸千其居

葛生だね。
好きな人を亡くしてしまった人の詩だよ。

夏の長き日。
冬の長き夜。
君はここに眠っている。
百歳の後、私もいずれは君の元で眠ろう。
やすらかに、その日を待ちたまえ。

放課後。
アキがサクの家を訪れる。
写真の裏の漢詩から、アキはあることに気づいていた。

どうしてサトさんしか写ってないんだろうって、ずっと思ってて。
たぶん、お祖父さんが出征の時に持って行った写真なんだよ。
サトさんはきっと、お祖父さんの写真を持ってたんだと思う。
お互い、胸に抱いて死ぬつもりで。
そこまでの覚悟だったんだから。
私、やっぱりちゃんとしないといけないと思った。

二人の骨をちゃんと撒きたいと言うアキだが、サクは骨の入った小瓶をどこかで失くしてしまったと言う。
そして「心は通じているだろうからもういい気がする」と言い、投げやりな態度を見せる。

その夜。
サクがアキの家に電話してみると、急の文化祭の打ち合わせで学校に行ったとアキの母に言われる。

外は豪雨だったが、サクは夜の学校に駆けつける。
すると学校のゴミ集積所で、アキが一人、ゴミの山から骨が入った小瓶を探していた。
学校中をずっと探していたらしく、服も汚れてしまっていた。

サクは呆然とし、謝罪。骨を失くしたというのは嘘で、実は持っていたサク。

いざとなったら、撒けなくて。
どんどん重くなってきちゃって。
亜紀に言われて、何か恥ずかしくなって…。
良かった、あって…(微笑む亜紀)


休日。
どこかの山の、もう使われていない線路を歩くサクとアキ。
小さな廃駅を見つける。
そこは、祖父が戦争へと出征した駅だった。
サトさんが見送りにきて、二人はその後、会うことはなかった…。

二人の骨を手のひらに出して、手をかざして風を待つサク。

なんでまた急にやる気になったの?
約束だから

と言った瞬間に、風が吹いて二人の骨が舞う…。
それを神妙に見つめるサクとアキ。


自転車の後ろにアキを乗せて、帰宅する二人。
自宅近くでアキを降ろし、サクは一人帰宅する。

ペダルが軽かった。
その軽さに、思い出していた。
僕の後ろには、いつも…。
あの日の約束を。
あの日のお祖父ちゃんを。

12年前。1975年7月16日。

祖父と自転車の練習をする5歳のサク。
なかなか上手くいかず、転び続けて足は傷だらけだったが、祖父の応援もあってついに成功。
これからはどこにでも連れて行ってあげるね、と幼いサクは祖父と約束。

そんなことを回想しながら自転車を走らせていると、ペダルが壊れ、転倒してしまうサク。
それを見た亜紀が駆け戻ってくる。

ペダル…ペダルって、軽いんだよ。
うん。
一人だと。
うん。
いなくなるって、そういうことだよ…。
うん…。
私、太るよ。
お祖父ちゃんと同じくらいになって、後ろに乗るよ。
何言ってんだよ…。

泣き崩れるサクを、優しく抱きしめるアキ。

世界で一番美しいものを見た。
世界で一番優しい音を聞いた。
世界っていうのは、抱きしめてくれる人のことで。
その腕の中は、暖かくて。
お祖父ちゃん、好きな人を亡くすのは、だから辛いんだよ。

2004年。

でも、どうして…どうしてこんなに辛いんだろうね…。

17年前、アキに優しく抱きしめられた日のことを回想したサクは、
抱きしめてもらっていいかな、とつい近くにいた明希に聞く。
変なこと言ってゴメンとすぐに訂正するが、明希はそんなサクをそっと抱きしめる。

僕は行く
もう一度
この音の高鳴る世界へ…

世界の中心で愛を叫ぶ 第2話

2004年7月9日放映
第2話 微妙な距離

2004年。
入院先の病院から抜け出したサク(緒形直人)は、17年ぶりに故郷を訪れる。

17年ぶりの故郷は、それなりに時を感じさせた。
黒い髪の生徒はいなくなり、ウォークマンはMDプレイヤーに変わった。
僕はアキと別れる場所を探した。
本当は、17年前にしなければいけないことだったから。
あの頃と変わらない所がいいと思った。
まだあるだろうか。アキが好きだと言った、あの場所は…。

意味深にアジサイの丘を見つめるサク…。

1987年。

サク(山田孝之)とアキ(綾瀬はるか)はウォークマンでの交換メッセージを続けていた。今朝は「図書室で一緒にコロッケパンが食べたい」というアキからのメッセージが。昼休み。サクは購買でコロッケパンを2つ買い、図書室へと向かう。だがアキは急に文化祭の打ち合わせが入り、一緒に食べることができない。

放課後。陸上部の練習をするアキ。サクがグラウンドの外で終わるのを待っていると、「今日は遅くなりそうだからいいよ」と、アキはどこか冷たい。

付き合い始めたものの、なかなか仲が進展しない二人。友人の大木からは「からかわれてるだけなんじゃねぇの」と言われ、サクは不安に駆られる。さらに、このままではロミオ役に先にキスされるぞ、と言われてしまう。

サクは急いで学校へと戻り、校門でアキが出てくるのを待つ。自転車で帰宅する二人。
帰り道、アキは近くの丘にサクを案内する。丘の頂上には一面、アジサイの花が咲いていた。

一人になりたい時よく来るんだ。アジサイって不思議な花でね、土壌の酸性度によって色が変わるんだって。青いアジサイは酸性。ピンクはアルカリ性。ちなみに、植物がよく育つのは弱酸性だって。

人間みたいだな。人って環境で性格が変わるって言うからさ。
そうだね。

ロマンチックな雰囲気になり、サクはキスしようとするが、「ヤダ」と拒まれてしまう。


その帰り。サクは祖父・謙太郎(仲代達矢)に呼び止められ、食事していくことに。
そして「ある人の骨をお墓から盗んで欲しい」と物騒な頼みごとをされる。
サクは嫌がるが、謙太郎もなかなか食い下がらない。

その夜。「できればジュリエットはやらないで欲しい」とサクはテープに吹き込むものの、男らしくないと感じたのかやはりやめる。 翌朝。サクは下駄箱にウォークマンを入れないでおくが、アキは何も言わない。

どうしたのとか聞けよ。なんだか自信がなくなってきた。アキはホントに俺のこと好きなのだろうか。

文化祭で「ロミオとジュリエット」の開催が決まっていたが、ロミオ役はまだ決まっていなかった。 立候補を求められ、誰もいないなら学級委員の安浦が演じるという。
それだけは阻止したいサクは、迷った末に立候補する。

サクか安浦か。「せっかくだからジュリエットが選べば、(サクと)できてるって噂もあるし」と女子たちは冷やかす。その冷やかしを拒絶するように、アキは「じゃあ学級委員同士ということで」と、サクではなく安浦を選ぶ。サクはアキへの不信感が強まる。


放課後、サクとアキは祖父の写真館を訪れる。アキの訪問を喜ぶ謙太郎。 アキは壁に飾られている、古ぼけているが美しい女性が写ったセピア色の写真を見つける。

あの世で一緒になろうと誓った人だ。出会った頃は戦争でね。彼女は身体が弱くて結核だったし、俺は兵隊に取られて、戦争が終わるまで二人とも生きてはいないだろうと思っていた。でもありがたいことに、二人とも無事に終戦に迎えられてね。
……
特効薬ができて、彼女は治って、親の決めたところに嫁ぐことになってしまったんだ。
笑っていいんだか、泣いていいんだかわからん話だ。会いたくて会いたくて、会おうと思った矢先に、彼女はぽっくり死んでしまった。だから、せめて骨を…。俺が死んだら、あの人の骨と俺の骨を、一緒に混ぜてまいて欲しいんだよ。そうしたらあの世で、あの人と一緒になれるかもしれないと…。

その帰り道。

翌日。今朝はアキの下駄箱にウォークマンが入っていた。気持ちを入れ替えたサクは、「ロミオとジュリエット」の演出に立候補したいと吹き込んでいた。それを聴いたアキは笑顔。 昼休み。コロッケパンを2つ買って、サクは図書室へ。だがアキはまた学級委員・安浦に話しかけられていた。

アキに想いを寄せる安浦は、松本と付き合ってるのか?と問い詰める。そして想いを押さえきれず、強引にアキにキスしてしまう。そこに居合わせたサクは、たまらず安浦に殴りかかる。 そしてサクはアキを責めてしまう。

放課後。アキの唇を他の男に奪われ、傷心のサクは堤防で一人たたずむ。そこに立ち寄った大木は、キス程度に何の意味があるんだ、と慰める。 その帰り。サクは写真館に寄り、「骨を盗みに行こう」と祖父に言う。サクと祖父は自転車に乗って墓地へ。

アキの自宅。男のせいで勉強に身が入らないのではと懸念したアキの父は、サクとの交換テープを無断で捨ててしまっていた。

夜の墓地。二人は祈りを捧げた後に、墓を掘り起こし、サトさんの骨を少量盗むことに成功。 その帰り、なんとなくアキの家に立ち寄るサク。すると、父の横暴なやり方に反発したアキが家から抜け出そうとしていた。

二人はアジサイの丘へ。すでに空が明るくなりかけていた。それぞれの想いを素直に語り合う。

今までいい子を演じてきたアキだが、思いがけないサクの言葉にアキは泣いてしまう。

初めてなの、私…。
頑張らなくていいって、そのまんまでいいって言われたの…。
嫌いにならないでね、サクちゃん。
私のこと、嫌いにならないでね…。

…キスする二人。

こんな風にひとつづつ、僕たちは近づいていくのだろう。
10年後、20年後、ひょっとしたら100年後。
ケンカをしたり、仲直りをしたり。
だけど、昨日より今日、明日より明後日…。
僕は当たり前のようにアキを好きになる。そう思っていた。
ここに毎年、アジサイが咲き続けるように。

2004年。
骨をまくため、17年ぶりにアジサイの丘にやって来たサク。

今も変わらずにアジサイが咲いていた。
だけどあの日アキと見た、ピンクのアジサイは一本もなかった。
目の覚めるような青だった。
僕の目を覚まさせる、鮮やかな青。
アキなどいなかったのだと言われてる気がして、僕はまくことができなかった…。

世界の中心で愛を叫ぶ 第1話

2004年7月2日放映
第1話 恩師からの手紙

1987年。
砂漠のオーストラリア。一人の高校生(サク・山田孝之)が岩の上でたたずんでいる。手には白い灰のようなものが入った小瓶が。かつて愛し合ったアキとの日々を回想し、泣き崩れるサク…。

17年後、2004年。サク(緒形直人)は大学病院で研究医として働いていた。

(大人サク)
朝起きると、泣いている。悲しいからではない。17年前の夢から、17年後の現実に戻ってくる時に、またぎ越さなくてはならない亀裂があり、僕は涙を流さずに、そこを越えることができないのだ。

サクは研究中に過労で倒れてしまう。サクの友人である明希(桜井幸子)が入院先まで見舞いに来て、留守中の郵便物を手渡す。その中に、高校時代の担任・谷田部(松下由樹)からの手紙があった。校舎が取り壊されることになったので、最後に見に来ないかという内容。サクは高校卒業後17年間、一度も故郷に帰っていない。

入院中のサク。ベッドでラジオを聞いていると、「私たちはラジオをきっかけに付き合い始めました。でも住む世界が違ってしまい、もう17年間会っていない…」というハガキが読まれる。そこにアキを感じたサクは、病院を抜け出してふらふらになりながらラジオステーションに駆けつけるが、もちろんそこにアキはいない。

あるはずがない。そんなことあるはずが。あるはずがないのだ。僕は彼女のいない世界に、もう17年も、いる――

1987年、高校2年生のサク。夏のある日曜日。サクは自転車に乗って葬儀場に向かう。サクの高校の教師が病気で亡くなったのだ。2年生を代表してサクのクラスメート・アキ(綾瀬はるか)が弔辞を読む。

(アキ)
この世に存在するものに、何ひとつ無駄なものはないと、教えて頂いたような気がします。言葉がありません。
私には、この気持ちを伝える言葉がありません。だから今日は、先生に詩を贈りたいと思います。

突然強い雨が降り始める。生徒たちは軒下に避難する。だがアキは雨に打たれるのもかまわず、心を込めて弔辞を読み続ける。

お前は聞く。冬はなぜ必要なの。すると私は答えるだろう。新しい葉を生み出すため。

(サク)
その時の気持ちは、言葉にならない。ただ廣瀬亜紀の声がする方に、自然に足が…。

傘を持って来ていたサクは、一人アキの方に歩み寄り、傘を差しかける…。

葬儀の帰り。アキはサクに声をかけ、二人は夕陽の落ちる堤防で会話。アキは傘のお礼にキーホルダーをプレゼントする。
帰宅後、そのキーホルダーは「MUSIC WAVE」というラジオの景品であることを妹から聞かされる。さっそくそのラジオを聞いてみるサク。 ハガキ採用者に贈られるウォークマンが欲しくて、アキはハガキを書いているという。

サクとアキのクラスの文化祭の催し物が、「ロミオとジュリエット」に決まる。女子生徒はジュリエット役にアキを推薦するが、アキはあまり乗り気ではない。

サクは友人の中川からお金を貸して欲しいと言われる。アキにひそかな想いを寄せる中川は、アキの誕生日にウォークマンをプレゼントしたいらしい。金がないと断れると、文才のあるサクに、ラジオにハガキを書いて欲しいと頼まれる。それをしぶしぶ承諾したサク。

放課後、たこ焼き屋でサクがハガキの案を練っていると、雨が降り始める。そこにアキが現れて、傘を差しかける。
二人は一緒に帰宅。「ジュリエット役、やりたくないならやめれば」とサク。気にかけてもらった嬉しさからか、アキは別れ際に、「サクって呼んでもいい?」と。

サクが練った案は完成し、ハガキを中川に手渡す。あとは自分で出しな、と。どこか寂しげなサク。 数日後のラジオ。
サクのハガキが採用され、内容が読み上げられる。

今日は僕のクラスのA・Hさんのことを書きたいと思います。彼女は学級委員で、みんながやりたがらないジュリエット役を、ニッコリ笑って引き受ける。だけど実はちょっとイタズラすることもある。そんな、とても魅力的な女の子です。
でも最近、学校を休むようになりました。実は、彼女は白血病になってしまったんです。このあいだ見舞いに行って、僕は愕然としました。彼女の髪の毛は薬の副作用ですっかり抜け落ち、かつての面影……

ラジオを聴いていたアキは、サクの仕業であると直感。翌朝学校で会った時に、「世の中にはホントに病気と闘ってる人もいるのよ」と非難する。 その夜。サクとアキの仲を知り、アキを諦めた中川は「俺は廣瀬よりもいい女と結婚する」と言い残して、ダンボールをサクに手渡す。中身は当選品のウォークマンだった。

翌朝。アキの下駄箱にウォークマンが入っていた。一緒にテープが入っており、再生してみるとサクの声が…。

松本朔太郎です。
この間はごめんなさい。
だけどわかって欲しいこともあって。
あれは俺にとって、ホントに一番せつない話だったんだ。
俺は廣瀬がいなくなるのが、何よりも一番せつない。
もし許してくれるなら、今日の放課後、あの場所に来てください。

放課後。サクが堤防で待っていると、アキが走ってやってくる。ウォークマンをサクに投げ、「聞いて」と。再生してみると、アキの声が…。

廣瀬アキです。
今日は私の好きなものについて話します。
第5位。たこ焼きパパさん。の前で、こそこそハガキを書いている松本朔太郎。
第4位。ガムのおもちゃでだまされる、人のいい松本朔太郎。
第3位。いつもいつも鍵をなくして、もぞもぞしている松本朔太郎。
第2位。ジュリエットやめたら?と言ってくれた松本朔太郎。

予期していなかった内容に驚くサク。アキは続きを直接サクに告げる。

第1位。あの日、傘を差しかけてくれた松本朔太郎。
…好きよ、サクちゃん。大好きだよ。

アキは照れ笑いを浮かべながら、サクに歩み寄っていく…

アキは今までで最高の誕生日だと言ってくれた。
僕もそんなこと言われたのは初めてで。
そしてこれが、アキの最後の誕生日になった…。
1987年の7月2日。

それから17年後、2004年の7月2日。アキを失ってから17回目の誕生日を迎えたサクは、強い喪失感に襲われていた。

だけど僕はこれから、ずっとこんな風に生きていくのだろうか。
僕は…忘れなければいけないと思った…。